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メトロノーム症候群は メッキ99%、金1%でできています。
 
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「っは!!…はぁはぁ、はっ…」

 
 どうやら私は悪夢をみたらしい。
 
いつもと変わらない自分の部屋に安堵した。
 
 
 真っ白な、染み一つ無い壁紙。
 
 水差しに入った水。水差しには大粒の水滴がついていた。

 サイドテーブルに置かれた花瓶にはかすみ草が活けてある。

 そして隣には、愛しい彼女がすやすやと寝息をたてている。



 これほどの幸福があるのだろうか。



 
 私は汗でぐしょぐしょになったパジャマを着替えた。

 それから初めて、私は喉が渇いていることに気づき、

 水差しからコップに水を並々と注ぎ、いっきに飲み干した。



 …?何かがおかしい…

そのとたん、熱いものが体を駆け巡った。
 
 「ぐあっ…ぐ…ふっ…ごふっ…」

苦しくて咳をした。鮮血がほとばしる。

 

 毒薬…か?…誰が? …まさか!!
 
 
 「く…くくくっ…くくくくっ」


 先ほどまで寝息をたてていたはずの彼女が笑っていた。

 
 「お前が毒を水差しにいれ

 
 言い終わらないうちに、私の意識は途切れた。










 
 「っは!!…はぁはぁ、はっ…」

 
 どうやら私は悪夢をみたらしい。
 
 いつもと変わらない自分の部屋に安堵した。
 
 
 真っ白な、染み一つ無い壁紙。
 
 そういえば水差しが空になっているが。

 サイドテーブルに置かれた花瓶にはかすみ草が活けてある。

 そして隣には、愛しい彼女がすやすやと寝息をたてている。



 これほどの幸福があるのだろうか。



 
 私は汗でぐしょぐしょになったパジャマを着替えた。

 それから初めて、私は喉が渇いていることに気づき、

 下に降りて水を汲んで来ることにした。



 水差しを片手に、彼女が起きないよう静かに階段を降りる。

 

 蛇口を捻ると、水が流れる音がキッチンに木霊した。

 途中、何か音がしたが彼女が起きたのだろうと思い、

 別段気にもとめなかった。

 彼女も水が飲みたくなったのだろうか。



 …気配はどんどん近づいてくる。

 
 息を押し殺した気配が近づいてくる。

 生臭い、殺気を放った気配が近づいてくる。



 確信した。    彼女ではない。と。



 確信し、振り向いた瞬間は

 男がバットを振り上げた瞬間だった。



 嫌な音を耳に感じ、私の意識は途切れた。






 

 

 
 「っは!!…はぁはぁ、はっ…」

 
 どうやら私は悪夢をみたらしい。
 
 一点だけ、紅い染みがついた壁紙。

 水差しは床に落ちて粉々に割れていた。

 花瓶が…無い。

 そして隣にも、愛しい彼女が…いない?

 水でも飲みに行ったのだろうか?
 
 それにしても、何なんだ?この嫌なにおいは。



 私は汗でぐしょぐしょになったパジャマを着替えようと、

 ベッドの横に立った。



 「……………っぁ!?」
 

 
 
 見るとそこには、花瓶で何度も頭を強打され、

 頭は割れ、体中の穴という穴から泡や血を垂れ流した

 彼女の無残な死体が転がっている。


 たまらなくなり、私は胃の中の物を吐き出した。

 何度も何度も、胃液しか出なくなっても吐き続けていた。
 
 


 気づくと、私のパジャマは彼女の紅い体液で

 気持ち悪いほどぐしょぐしょになっていた。



 私は恐怖に捕り付かれ、嗚咽するしかなかった。



 「…あ…ぁ…ぁああああああああああああああっ…」


 あの私の悲鳴は夜の冴えた空気を震わせていた。










 …そして、私の意識は途切れた。





 




 

目覚めなければ…と思うような、

悪夢より恐ろしい…現実の世界。
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